2009年 08月 01日
凍りのくじら |
辻村深月作品。
これは、前作までよりも、人間に真剣に向き合おうとしている感じ。
まだまだ、綺麗に書きすぎているのかもしれないけど、
ミステリのコマではない生きた人間に挑戦した話だと思います。
前々作(「冷たい校舎の~」)、前作(「子どもたちは夜と~」)も面白かったし、
手に汗握ったり、ハラハラしたり、ときめいたり、怒りをおぼえたりしたのですが、
今回のが、一番刺さりました。
著者(辻村深月)も書いてたけど「本の好きな女の子」なら、少なからず共感できるはず。
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元恋人を、「私以外の他人と真剣に関わろうとしてない。痛い人。」って
心の中で馬鹿にしていた主人公が、
ある日、元恋人から電話で、
「僕は今まで他人と真剣に向き合ってこなかったしゃない、君以外とは」って言われて
ごめん、あなたにはその自覚がないと思ってた・・・って衝撃をうけるシーンが好き。
ダメダメな元恋人の評価が少し上がるのと同時に、
それまでカナリ賢くて大人に書かれていた主人公の未熟さが見えた。
私も、主人公目線で、元恋人のことを「ほんと愚かな奴」って評価していたので、
その評価が思わぬところでひっくり返されて、人物に厚みが感じられるようになった。
その後の話が、一気に面白くなった。
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理帆子をまねて、周囲の出来事を「SF:少しなんとか」にあてはめていたら、
どんどん楽しくなってきました。
朝の私は「少し不機嫌」。
今日の会議は「少し不穏」。
今の発言は「少し不当」。
この仕事は「少し負担」。
(「少し~」なのに、並べると、なんだかすごく不満があるかんじ!)
by y-_-kana
| 2009-08-01 22:59
| エンターテインメント